
はり師、きゅう師の違いとは?

はり師、きゅう師の違いとは?
公開日 : 2023年02月13日
「はり」や「きゅう」を使って健康促進を行う「鍼灸師」は、今多くの注目を集めている職業です。他の職業ではできない独自のアプローチで肉体的な負担を軽減できるそのスキルは、さまざまなシーンで活用されています。今後も鍼灸師として働く人の需要は高まり、鍼灸院をはじめとした多くの職場で活躍する機会に恵まれるでしょう。
そんな鍼灸師になるには、国家資格の「はり師」と「きゅう師」を取得しなければなりません。はり師ときゅう師にはさまざまな違いがあり、対応できる業務内容も異なります。
そこで本記事では鍼灸師を目指す人・興味のある人に向けて、はり師ときゅう師の違いについて解説します。

鍼灸師になるには「はり師」と「きゅう師」の資格が両方必要?
よく勘違いされますが鍼灸師は資格名ではなく、職業の名前となっています。そのため鍼灸師という資格はなく、「はり師」と「きゅう師」の国家資格を取得することが就職の条件となっているのです。
鍼灸師になるには、はり師ときゅう師の国家資格を両方取得する必要があります。国家試験自体は別々に実施されるため、それぞれの試験で合格しなければならないのです。試験の範囲が2倍になると考えられがちですが、はり師ときゅう師の国家試験を同時に受験する場合、その旨を申し出ることで一方の試験の共通科目が免除されます。
本来、はり師・きゅう師の国家試験の範囲は、以下のようになっています。
- 医療概論(医学史を除く)
- 衛生学、公衆衛生学
- 関係法規
- 解剖学
- 生理学
- 病理学概論
- 臨床医学総論
- 臨床医学各論
- リハビリテーション医学
- 東洋医学概論
- 経絡経穴概論
- はり理論(きゅう師の国家試験の場合には「きゅう理論」)および東洋医学臨床論
上記のうちはり理論・きゅう理論以外の科目は、はり師ときゅう師の試験科目として共通のものとなっているため、同時に受験することで免除されます。
はり師ときゅう師の国家試験は別々のタイミングで受験することもできますが、共通科目が免除される点から同時に受ける人が多いです。試験における負担を減らすためにも、はり師・きゅう師の国家試験はなるべく同時受験することがおすすめです。
はり師の資格取得によってできるようになること
はり師とは、患者さんが感じている身体の不調に合わせて、鍼(はり)を使った施術を行える国家資格です。鍼を身体のいたるところにあるツボに刺し込み、刺激を与えて自然治癒力を高めます。刺し込むツボや筋肉によってさまざまな効果を引き出せるため、はり師は鍼を刺し込む技術に加えてツボの部位ごとの効能についての知識が必要です。
はり師の使う鍼は注射針や裁縫針のような太さはなく、先端の形状も丸みを帯びています。注射針の太さは一般的に0.4〜1.6ミリ程度ですが、鍼灸師の使う鍼は0.14~0.34ミリ程度しかありません。そのためツボに刺し込んだとしても、鍼による痛みはほとんど感じないのです。むしろ鍼の刺激によってリラックスしやすくなるため、肉体だけでなく精神の負担軽減にもつながります。
きゅう師の資格取得によってできるようになること
きゅう師の国家資格を取得すると、よもぎをはじめとした薬草で作られた「艾(もぐさ)」を使って治療を行えるようになります。はり師と違い、きゅう師は艾をツボのある部位に設置し、火をつけて熱による刺激を与えるのが特徴です。熱の力によって肉体を温めながら患部を刺激し、さまざまな効能を引き出します。
艾に火をつけるという施術方法から、火傷の心配をする方も多いです。しかし、艾が発する熱は火傷するほど高くなるわけではないため、長時間の施術でも問題はありません。こちらも熱によるリラックス効果に期待できるため、気持ち良くて寝入ってしまう患者さんも珍しくありません。
鍼灸師およびはり師・きゅう師の需要について
鍼灸師およびはり師・きゅう師は、近年高い需要のある職業として認知されています。はり師やきゅう師の行う施術は西洋医学と違い、手術や投薬に頼らないのが特徴です。病院に行くほどでもないけれど、身体の不調が取れないという人が気軽に施術を受けられるのが鍼灸師の需要を高めています。
東洋医学を基にした鍼灸師の施術は、鍼や艾を使って間接的に患者さんの自然治癒力を高めて、血流の改善などから免疫力の向上を行えます。そのためまだ薬の使えない幼児や、妊娠中・授乳中の女性にも実践できる施術となっているのです。その対象範囲の広さから世界的にも注目を集めているため、今後はグローバルに活躍する鍼灸師も増える可能性があるでしょう。
また、鍼灸師の活躍の場は専門的な鍼灸院だけでなく、スポーツ業界や美容業界にまで拡大しています。スポーツ選手の肉体に蓄積された疲労の回復を、鍼や艾を使った施術で行うケースも増えているのです。鍼による刺激は顔のたるみやほうれい線、むくみなどの解消にもつながるため、「美容鍼灸」という新しい分野で注目を集めています。
このように幅広い業界で活躍できる点も、鍼灸師およびはり師・きゅう師の需要が高まっている理由のひとつです。
鍼灸師を目指すのならはり師ときゅう師の役割を両方担当できるようにしておく
鍼灸師を目指すのであれば、はり師ときゅう師の国家資格を取得し、両方の役割を担当できるようにするのがおすすめです。「はり師だけ」「きゅう師だけ」を取得した状態では、鍼灸師と名乗ることはできません。対応できる業務の量も半分だけとなるため、就職時に採用される可能性が低下するでしょう。
鍼灸師とは基本的に、はり師ときゅう師両方の仕事ができる人材を指します。どちらか一方の資格を取得して満足するのではなく、2つで1つの資格になるという意識で国家試験に臨みましょう。
まとめ
鍼灸師になるには、国家資格のはり師・きゅう師の取得が必須です。2種類の資格を必要とする珍しい職業であるため、国家試験には万全の準備をして臨むようにしましょう。
鍼灸師を目指してはり師・きゅう師の国家資格を取得するには、まず国家試験の受験条件を満たす必要があります。国家試験の受験条件を満たすには、厚生労働省の指定する養成施設に進学して所定の学習過程を修了しなければなりません。具体的には鍼灸師について学べる専門学校などで、専門スキルを学んで卒業する必要があるのです。
「名古屋医健スポーツ専門学校」の「鍼灸科」は、幅広い学習範囲と手厚い就職サポートなどによって鍼灸師を目指す学生を支援しています。特に名古屋医健スポーツ専門学校は担任制のため、何かあったときにすぐに相談したり、勉強の質問をしたりすることが可能であり、学生と教師の距離の近さも特徴の1つといえるでしょう。
はり師・きゅう師になるためには、まず進学先を決めることが先決です。資料請求をしたり、オープンキャンパスなどに参加したりすることが、はり師・きゅう師になるための第一歩となるでしょう。名古屋医健スポーツ専門学校のオープンキャンパスでは、体験授業も行っているため、実際に鍼やお灸に触れながら、資格について理解することができます。
はり師・きゅう師の国家試験対策も本格的に実施しているため、この機会に名古屋医健スポーツ専門学校の詳細をぜひチェックしてみてください。
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