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地域創生とは?
持続可能な地域実現の取り組みと成功例

地域創生とは?
持続可能な地域実現の取り組みと成功例

公開日 : 2023年04月20日

地域創生(地方創生)は2014年にスタートした取り組みであり、地域の人口減少・少子高齢化を改善することで日本全体の活力を上げる試みです。今回は、地域創生の定義や政策としての目的、実現が難しい理由や成功例について解説します。

地域創生とは?

都心部への過度な人口集中を食い止め、地方自治体と国・企業が一体となって地域経済を活性化しようとする取り組みを「地域創生」といいます。もともと地域創生という言葉はなく、2014年に打ち出された「地方創生」という政策の名前から生まれました。

地域の経済を活発にするために国が本格的に動き出したことを皮切りに、メディアでも「地方創生(地域創生)」が取り上げられるようになり、積極的に取り組む自治体が増えました。

1997年以降、1都3県では人口流入が増加し続けています。ほかの地域に比べて利便性が高く、都市部と地方圏を比べると教育・所得・生活水準の差があるため、生活していくうえで便利な都市部へ移り住む若者が増加しているのです。

人口流出・少子高齢化に歯止めをかけられない地域は税収が落ち、住民サービスを維持することは難しくなるでしょう。人口が減るとサービス産業も撤退を余儀なくされて雇用機会が失われるため、若者はますます都市部へ進出するようになります。このような悪循環が、都市部への人口流出に拍車をかけているのです。

それぞれの地域で住みやすい環境を整備することで、都市部へ人口が集中する状況を改善し、活力ある日本社会を維持していくことが地域創生の目的です。

国が定める「地方創生」の定義

地方創生は、地域と政府が一体となって取り組むために設置された「まち・ひと・しごと創生法」に記載されています。2019年に第1期が終了し、第2期(2020年度~2024年度)では、下記の点に注力した施策を進める予定です。

<第2期における新たな視点>

新たな視点 内容
地方へのひと・資金の流れを強化する ・将来的な地方移住にもつながる「関係人口」の創出・拡大
・企業や個人による地方への寄附・投資等による地方への資金の流れの強化
新しい時代の流れを力にする ・Society5.0の実現に向けた技術の活用
・SDGsを原動力とした地方創生
・「地方から世界へ」
人材を育て活かす ・地方創生の基盤をなす人材に焦点を当て、掘り起こしや育成、活躍を支援
民間と協働する ・地方公共団体に加え、NPOなどの地域づくりを担う組織や企業と連携
誰もが活躍できる地域社会をつくる ・女性、高齢者、障害者、外国人等誰もが居場所と役割を持ち、活躍できる地域社会を実現
地域経営の視点で取り組む ・地域の経済社会構造全体を俯瞰して地域をマネジメント

参考:地方創生の現状と今後の展開

「地域創生」と「地方創生」の違いは?

地域創生は、「地方創生」という政策の名前から派生した言葉であり、「地域活性化」と同様の意味で用いられます。「地方」という響きにネガティブなイメージを感じる方の心情に配慮して生まれたという説もありますし、地域活性化・町おこしのような一般的な言葉として「地方創生」と呼ぶのがためらわれるという説もあります。

なぜ地域創生が必要なのか

人口密度が高すぎるエリアは、災害発生時に被害が大きくなるリスクを抱えています。リスクを分散させるという意味でも都心部への人口流入を緩和することが求められているのですが、それより深刻なのは、人口流出によって「地域経済の縮小」が起きることです。2014年5月には、国土交通省によって「消滅可能性都市」が指定されました。2040年までに人口が半減し、消滅する恐れがある市町村が896あるといわれています。

生活関連サービスの撤退・縮小

地方圏の雇用は、外食産業・運輸業・情報通信産業といった第3次産業が6割以上を占めているのが現状です。そのため、小売業・サービス業の撤退・縮小は地域の雇用力低下に直結し、人口流出が激しくなる直接的な要因になります。これは、地方から都心部へ人が流出している人材のほとんどが労働力となる若い人たちであることからも分かります。

小売・飲食・交通・娯楽・医療機関など生活に根付く各種サービスは、一定の人口規模があるからこそ成り立ちます。例えば、一般病院や大型商業施設を新しく建てるためには何千人、何万人もの人口規模が必要です。これより人数が少なくても建てることは可能ですが、需要が少なすぎると収益が見込めず、運用・維持に不安が残ります。これは、民間の事業者が運営する電車やバスなどの公共交通機関も同様です。過疎化が進んだ地域では経営が厳しい電車やバスの路線の撤退・運行回数の減少を検討しますが、高齢者の移動手段として公共交通機関の重要性が高いだけに、地域住民への影響も大きくなると予想されます。

地域経済の縮小が起きる要因

人口が減ると税収入が減少するため、人口の減少は地域の財政に大きな影響を及ぼします。人口の流出や産業・公共サービスの撤退・縮小によって税収入が減少する一方で、若者の移転によって高齢化が進んだ地域では社会保障費が増加します。また、高度経済成長期につくられた公共施設・インフラの老朽化が目前に迫っており、この問題にも対処しなくてはなりません。

厳しい財政状況で自治体の財政破綻を避けるためには、公共サービスの水準を下げて支出をカットし、各種税金や公共料金を引き上げて収入のアップをはかるといった対策を立てる必要があります。その結果、地域住民への負担が増加し、都心部よりも生活するうえで不便になってしまうため、ますます若者の流出が加速してしまうという悪循環に陥ります。

もちろん、すべての地域で若者の流出による人口減少の問題が深刻化するわけではありません。地域の特性によってどのような問題が考えられるかは異なります。しかし、人口減少はどの地域でも起こる可能性があるうえ、生活に直結する部分で問題になるきわめて身近な問題です。地域全体で人口減少に歯止めをかけるため、「地域創生」を進めることにより、世代を超えて豊かな暮らしを実現できるような地域づくりを進めていくことが求められています。

地域創生の難しさ

国が「地方創生」の方針を掲げてしばらく経ちますが、依然として東京一極集中に歯止めはかかっておらず、地域の過疎化が急速に進んでいます。地域創生が難しいといわれる理由や課題は、以下のとおりです。

利害調整の難しさ

都市部の企業を誘致することも地域創生の策として有効ですが、地域住民や地域団体が「よそ者」に門戸を開いてくれないというケースがあります。どの地域にも農協・山林組合・医師会・商工会議所など多くの業界組合がありますが、このような関連団体が、昔から得ている権利や利益を保護していたり、維持することを優先したりする場合、企業間連携を取るのが困難になります。

このような現象は、過去から維持している権利や利益を守ることばかりが原因ではありません。地域の課題はさまざまな要因が重なりあっているため、都市部の企業1社で対応するとかなり限られた対処で終わってしまい、そもそも地域創生に貢献するのが難しいのです。地域と企業の間で利害の調整を行うのが難しく、なかなか連携できないという課題があります。

自治体の関与・支援不足

積極的に地域創生に取り組んでも単発の取り組みに終わるケースがあり、表面的な解決に終始しやすいのが課題です。予算の企画立案から承認までのプロセスに時間がかかりすぎ、民間との連携や企業間での連携が取れないという問題も出てきます。

「地方創生」は、地方自治体のことを考えている一方で、地域に苦しい要求をしているという側面もあります。地域創生のためには補助金・交付金に頼りきりにならない自律的な運営をしていくことが求められており、そのためには「この市町村には何が必要なのか」を理解したうえで実現していく必要があるからです。

しかし、人口流出が止められない以上、国から予算を貰うだけでは自治体運営が立ち行かなくなるのは明らかです。その地域のことをよく知る方々が地域を立て直し、地域を盛り上げていくことが、ひいては日本を立て直すことにつながります。

地域創生の成功例

「どのように進めていいかわからない」、「実現が難しい」といわれている地域創生ですが、成功を収めている事例も少なからず存在します。

A級グルメのまち(島根県邑南町)

島根県の内陸部にある邑南(おおなん)町は、人口1万人ほどの小さな町です。政府が「地方創生」を発表するよりも前から地方活性化を行っており、ユニークな発想で人口1万人規模の自治体では初めての社会増を達成したことで話題になりました。

2011年度から邑南町が取り組んでいる「A級グルメのまち」の一環として、町営レストラン「AJIKURA」や直営店を開業。新たな食と農の担い手として定住してもらうことを目指した「耕すシェフ」制度は、2016年のグッドデザイン賞を受賞しました。

地域資源を生かした産業創出(沖縄県糸満市)

糸満市の特産物である「海ぶどう」は需要が高いものの、養殖に時間がかかるうえ月や気象に左右されやすく、安定供給が難しいというデメリットがありました。そこに目を付けたIT企業の働きかけで産学官連携がスタート。IoTを活用して二酸化炭素の量を調節する実証実験を重ねて、海ぶどうの収穫量が1.5倍になるばかりか、従来の育て方よりも日持ちする養殖方法を確立しました。

すでに輸出可能なレベルのコンテナ型海藻自動養殖システムが完成しており、パッケージ化が進めば砂漠の中で海ぶどうを養殖することも可能になるでしょう。産学官連携が地域創生と強固に結びつき、産業創出に貢献した好例といえます。

移住者が急増する「住みたい田舎」(愛媛県西条市)

四国の中でも「住みたい田舎」として移住者が急増するのは、豊かな自然に囲まれた愛媛県西条市です。水に恵まれていることから工業地帯が発展しており、農作物も育てやすいためもともとポテンシャルの高いエリアでしたが、一般的には知名度はほとんどありませんでした。

そこで、より広く西条市を知ってもらうために、2018年には個々の希望に合わせるオーダーメイドの無料移住体験ツアーを企画。場所に赴くのではなく「人」に会うというスタンスで、等身大の魅力を移住希望者に伝えていきました。その結果、西条市への移住者は増加傾向に転じ、『田舎暮らしの本(宝島社)』に掲載された2020年版 住みたい田舎ベストランキングの「大きなまち・若者部門」部門で全国1位に取り上げられるほどの知名度の向上につながりました。

画期的な地域創生(北海道夕張市)

夕張市といえば、2007年に財政破綻をした自治体としてネガティブに記憶されている方もいるかもしれません。しかし、「地方創生」という観点で見ると群を抜いて成功を収めている自治体でもあります。

国の管理下に置かれて借金を返し続ける夕張市において、新規事業を立ち上げは簡単なことではありません。そんな状況でも、コンパクトシティ計画を軌道に乗せ、防災工事の必要性に迫られて逆に利益を生み出したという事例があります。また、地域最後の高校の維持をクラウドファンディングにより実現を果たしました。夕張市の挑戦はどれも画期的で、しばしば地域創生の好例として取り上げられ、各自治体の関係者が視察に訪れている状況です。

「人口減少から少子高齢化が加速し、税収が減って財政難になる」というのは、どの自治体も等しく頭を抱える問題です。消滅の可能性にさらされている896自治体にとってはなおさら、夕張市が歩んだ道は他人事ではありません。ほかの自治体より10年遅れて地域再生のスタートを切った夕張市の地域創生は、日本全国の自治体の希望でもあります。

「強み」も「弱み」も知ることで地域創生ができる

東京一極集中が際立つようになり、人口減少や少子高齢化の加速によって地域が衰退していくことが目前に迫っています。各地域が住みやすい環境と安定した雇用を生み出して経済を活性化させれば地域にも人が集まるようになり、ひいては地域1つひとつが日本全体の活気をもたらす存在になるでしょう。

地域創生(地方創生)の目的は、地域がそれぞれの特性を生かして独特で魅力のある社会をつくりあげることです。地域の経済を活性化させるには、その地域を魅力的だと感じてもらわなくてはなりません。しかし、どのような魅力をアピールして地域創生を進めるかについては、地域が解決するべき課題によって変化します。地域創生の好例でも、地域創生の裏には必ず「課題」がありました。

地域を盛り上げていくためには、地域が抱える「弱み」にも目を向けることも必要です。「弱み」が強みに転じることもありますし、ときには現状の定説を覆してでも進める価値のあるプロジェクトが生まれるでしょう。特色を見極めて「強み」をしっかりとPRすることも大切ですが、「弱み」を直視して地域に眠る大きな課題をピンポイントで発掘し、課題解決に乗り出すことも同じくらい大切です。

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