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【事例も紹介!】
導入が進むスマート農業とは?

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導入が進むスマート農業とは?

公開日 : 2023年04月19日

日本の農業には着々と先端技術が導入されていますが、依然として人間が手ずから行わなくてはいけない作業や、熟練しなければできない作業が多く存在するのが現状です。そんな中で注目を集めており、農林水産省が意欲的に推進するのが、新しい農業の形「スマート農業」です。この記事では、スマート農業が導入される目的やどのような課題解決に貢献するのか、農業従事者にとってのメリット・デメリットや事例について解説します。

スマート農業とは

スマート農業とは、ロボット技術・情報通信技術(ICT)・AIなどを駆使し、実作業の省力化・高品質生産を実現する「新たな農業」の形です。スマート農業を活かすことができれば、農作業の省力化・軽労化だけではなく、技術継承の簡易化による新規就農者の確保も期待できます。農業のスマート化を推進する目的としては、主に以下の3点が挙げられます。

省力化・軽労化

日本の農業従事者は高齢化に伴い減少しており、依然として農業の「労働力不足」は深刻な問題です。情報通信技術(ICT)やAIなどの導入で農作業の省力化・軽労化を進めて「人間しか対応できない」作業を徐々に減らし、少ない労力でも回せるような支援が期待されます。

技術継承

農業技術のノウハウとは経験則であり、ほとんど言語化されていませんでした。これでは仮に後継者ができても、農業従事者として育て上げるのにかなりの時間を要します。このような農家の継承問題を受けて、農林水産省は、AI(人工知能)を活用した技術継承を推進しています。

食料自給率の向上

スマート農業の推進は、ひいては食料自給率の向上にも一役買うような方向で開発が進んでいます。食生活の多様化に伴い、日本の食料自給率は2019年度の時点で38%(カロリーベース)と低く、特に穀物・大豆に至ってはG7の中では最下位という低さです。そんな日本の食料自給率回復の糸口として「農業技術水準の向上」、スマート農業の推進が挙げられます。
参照元:日本の食料自給率・食料国産率|農林水産省

スマート農業のメリット

省エネによる収穫量の拡大

機械を算入させることで、長時間の農作業が叶うのはもちろん、悪天候下でもパフォーマンスを落とさずに作業できるのは大きなメリットです。日々の育成データを分析・解析し、収穫率の高い環境の制御が可能になれば、日本の農業の強みであるきめ細やかな栽培のアシストにもつながるでしょう。また、今までは労働力の問題で手が回らなかった農地も有効活用できるようになるため、生産量・収穫量の増加も期待できます。

肉体負担の軽減

農作業は肉体への負荷が大きい重労働です。ロボットトラクター、遠隔操作による農薬散布・水田管理システムなどの導入で、肉体的な負担の多い作業を機械に任せることが可能になります。農作業の軽労化が進めば、「農業は肉体的にきつい仕事だ」というイメージは払拭され、高齢者や女性の参入障壁も低くなるでしょう。スマート農業の浸透は新規就農者の幅を広げるだけではなく、既存就農者の負担軽減にも一役買ってくれるはずです。

農業ノウハウのデータ活用

自律的に学習していくAIを活かし、新規就農者であってもすぐにベテラン農家と同様の知見を継承できる環境を整えることが可能です。農業ノウハウのデータを活用できれば、初学者であっても一定の品質と収益性を担保した農業が可能になり、新規就労者への手厚い支援につながります。農業に従事する魅力が増し、新しい農業の担い手を確保する計画もより現実的なものとなるでしょう。

スマート農業の課題

初期費用が高い

スマート化された農機は、従来の農機よりも導入費用が高くついてしまうのがネックです。したがって、スマート農業を導入するための初期費用(イニシャルコスト)が高くついてしまうのがデメリットといえるでしょう。新しい農機の活用が難しかったケースも存在しますし、スマート化でどれくらい効果が見込めるのか判断しづらい点も、導入に二の足を踏む理由としては十分でしょう。新規・既存を問わず農業従事者にとって、スマート農業の存在を知っていても、気軽にチャレンジできるようなものではないのです。

実践者・育成者の不足

スマート農業を使いこなすには、基本的なITの素養が求められます。この事実は、「スマート農業の実践者が足りない」「今後のスマート農業を担う後継者育成が可能な人材が足りない」という2つの課題を浮き彫りにします。このような背景を踏まえると、今後はスマート化を促すサポート体制を整えたりすることが、農業分野における優先事項となるでしょう。

スマート農業の主な取り組み

ロボット技術の活用

こちらでは、3つの分野に進出している農業向けロボット技術について解説します。

●土地利用型農業…土地の面積に依存して農作物を生産する方式を「土地利用型農業」と呼びます。具体的な作物は穀物類です。この分野では、遠隔操作によって農薬散布や収穫といった重労働を担うロボット技術が実用化されています。

●施設栽培・露地栽培…施設栽培とはビニールハウスやガラスハウスといった施設で作物を安定して育てる方法です。一方、露地栽培とは施設を使わず、自然に近い状態で栽培することを指します。施設栽培・露地栽培では、ハウス内の環境制御や作物の品質評価、収穫後の仕分け作業を軽労化するロボット技術が存在します。

●物流…農業物流の分野では、収穫した農作物の選果・選別、箱詰め、荷物運送にロボット技術が活用されています。

ビッグデータの活用

ビッグデータとは、人の手ではとても収集・解析できないほど膨大なデータのこと。IT技術の進歩によって、毎日の気温・天候や圃場のようすを収集し、リスク管理や栽培予測といった分野で農業をアシストできる可能性が見えてきました。

AIの活用

AI(人工知能)はトラクターやドローンといった別の機器・農機に搭載されるのが一般的です。例えば、農薬散布を行うドローン「オプティム」や、育成環境を制御する「クレバアグリ」にもAIが搭載されています。
農業のスマート化が進んでいるオランダでは、パプリカの自動収穫ロボットをいち早く導入し、AIによるスマート化に積極的な姿勢を見せています。

IoTの活用

IoTとは「モノのインターネット(Internet of Things)」の略称であり、本来はインターネットへの接続が想定されていなかった機器とインターネットを繋げることを指します。農業分野においては、GPS搭載農機やスマホ・パソコンから圃場管理・肥培管理が可能なサービスが台頭しており、2020年9月には、ガラケーから電話操作できるスマート水田サービス「paditch(パディッチ)」がスタート。「モノ」という広い範囲で、今後もますます多くのIoT技術が導入されていくでしょう。

スマート農業の導入事例

農業ロボット

ロボット技術は、農作業の自動化・軽労化を目に見える形でサポートしてくれます。例えば、「第9回ロボット大賞」で優秀賞に輝いた自動操舵システムは、既存のトラクターに後付けできるタイプのロボット技術です。後から取り付けられるので、季節限定で動かすような農具にも装着でき、1つのシステムで多様な農作業に対応できる点で注目を集めています。栽培・収穫の分野だと自立走行型のロボットが存在します。栽培エリアを自動走行し、環境制御を行い、収穫個数を自動で判断。収穫箱2つ分(100kg)を運びながら作業者に追従させたり、指定の場所へ運ばせたりすることも可能です。

農業用ドローン

ドローン技術においては、日本のGPS衛星「みちびき」が農業に利用されています。衛星観測は障害物があると電波が遮られて測位が難しくなるのですが、常に空を飛んでいるドローンを経由すれば「みちびき」の弱点をカバーできます。農業用ドローンが急速に普及している分野は「農薬散布」です。ドローンによる農薬散布は、土地利用型農業を中心に拡大しており、ドローンに適した農薬の開発・登録が急がれています。

自動運転農機

自動車における「自動運転」は、農機の世界でも研究・開発が積極的に進められています。ロボットトラクターの分野では、クボタ、ヤンマー、イセキが製品化に成功しており、農作業の省力化や生産性向上の一躍を担っています。

環境制御技術

環境制御技術は、栽培中の複合的な環境を制御する技術です。ハウス栽培では、環境制御システム「iSii(イージー)」が挙げられます。日射、気温、CO2濃度、天候といったデータを感知し、水や肥料の使用量を最小限に抑えつつも、理想的な育成環境を保つような栽培管理システムを実現しました。
このような環境制御技術は、農作業の効率化に貢献するだけではなく、品質・収穫量の安定に寄与するでしょう。

参照元:iSii(イージー)

企業参入によるスマート農業の事例

ICT技術を活用(移動通信会社)

移動通信会社が持つICT技術を応用して、営農支援をするプラットフォームを運営しています。圃場管理・栽培管理を手軽に行えるシステムで、圃場の見える化をすることで見回りの労力を削減し、生産性向上に役立ててもらうためのサービスとなっています。

自動運転農機の開発(農機メーカー)

農機メーカーでは、自動運転農機の研究・開発を積極的に進めており、すでに有人監視下における自動運転・無人運転を行うトラクター・田植え機・コンバインなどの製品化を行っています。スマートフォンやパソコンといった端末と農機(トラクター・田植え機・コンバインなど)を連携させ、作業効率のアップや施肥量調整によるコスト削減で、ビジネスとしての農業を支えます。

マニュアルシステムや実証実験(移動通信会社)

栽培データをマニュアル化することで、新規就農者へ効率的な技術継承を可能とする農業用IoTソリューションの事例もあります。その他にも、ドローンを用いた小麦の圃場確認の実証実験にも取り組んでいます。こちらは製品化に至っていませんが、ドローンの情報とセンサーの情報を組み合わせて収穫時期を予測できるのではないかと期待が寄せられています。

今後はスマート化を推進することにより、農業を持続可能な形に修正していくことが求められます。持続可能とは、自然に存在する再生可能な資源を汚染・破壊せず、無駄なく利用すること。森林や水といった資源や農薬の使用量を最小限に抑え、生産量を増やして無駄を削減していくためには、農業のスマート化を推進することが求められます。スマート農業の推進は、さまざまな課題を抱える日本の農業にとっても重要です。

農業従事者は兼業していますが、49歳以下の新規就農者は、2014年頃から増加傾向にあります。これは、スマート農業の広がりによって栽培技術の継承が容易になったことも要因のひとつでしょう。個人事業主から法人化する農家が増え、サラリーマン就農者として働く人に技術継承しやすくなった背景があります。まだ課題こそありますが、農業のスマート化は今後ますます意欲的に研究・開発され、農業をより楽しく、より安全なものへ変えてくれるでしょう。スマート農業は、もはや農業が抱える問題を解決するのに欠かせない存在なのです。

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農業分野において、ITに精通した人材の確保は急務です。スマート農業従事者やITに強い農業関連企業スタッフなどが求められています。これを機に、これからの農業を担える存在を目指してみてはいかがでしょうか。

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